・自分を磨いて、会社に頼らない働き方を!
・新卒しかチャンスのない就職はおかしい!
・雇用の流動化を促進して活力ある社会を!
・勤続年数でなく実力に見合った給料を払えるようにしよう!
こんな言葉を毎日のようにテレビやネットで見かけます。
誰だって努力や実力が正当に報われるほうがいいと思いますから、そうだそうだ!って言いたくなりますよね。
ですが、新卒一括採用や年功序列、終身雇用といったいわゆる「日本的」な雇用慣行がなくなったら、むしろ大多数の人は路頭に迷うことになるでしょう。
理由はカンタン。
みんなうぬぼれすぎだから。
ホントにそんな実力が自分にあると思いますか?
むしろ日本が世界に誇るこの「三種の神器」は何があっても守らないといけない、というのがこの記事のテーマです。
素直に賛成できないな・・・っていう人も、頭の体操だと思ってお付き合いいただけたら幸いです。
Contents
新卒一括採用をなくそうとか、まったく意味不明!
最初に新卒一括採用についてです。
これを批判するなんて、みんな自分の能力を買いかぶりすぎだということが如実にわかりますね。
日本人の能力が一歩外に出たらいかに低いか知らないのでしょうか。
実際、海外の学生で日本にやってくる層はとても優秀です。
特にアジアの学生の多くはきっちり日本語をマスターしてやってきますし、そうでなくても習得のスピードには目を見張るものがあります。
それに加えて、早くから高い専門性による一点突破を目指してくるものあり、日本同様ポテンシャル採用でありながら、圧倒的なスキルを引っ提げてくるものあり。
何せ母集団の数が違いますから、同じ上位1%でもその差は歴然としています。
企業からしたらよりどりみどりですね。
一方でご存知のとおり、日本人の英語力はアジア最底辺。
それだけでも相当やばいのに、会計もITも法律も知らない学生がほとんど。
そんな状況で、「自分は海外勢とまともに戦える」と本気で思っている学生がいるとしたら、ハッキリ言って相当おめでたいと言わざるを得ません。
それに、敵は海外だけじゃありません。
新卒一括採用がなくなり、代わりに通年・中途採用が一般化したら、日本人同士の職の奪い合いも激化します。
本当に雇用が流動化して、日本企業も欧米のような採用スタイルに変わったとしましょう。
すると企業は必要なときに、必要な人を必要な数だけ採ってくればいい、という感じになるわけです。
そうなったら、何のスキルももたず、利益も生まない学生をわざわざ雇って、教育までしてあげるお人よしの会社は激減するでしょう。
結局、その手塩にかけて育てた学生は早晩ほかの企業に転職してしまうからです。
そうやって踏み台にされる会社は早晩つぶれてしまいますよね。
だったら、みんな中途採用で即利益に貢献する人や、新卒でもすぐにパフォーマンスの出せるほんのひと握りの若者だけを雇うと思いませんか?
極めつけはAIです。
新卒採用された若手がやるようなエントリーレベルの定型的な仕事はどんどんAIに代替されていってもおかしくありません。
そう考えていくと、大多数の何の役にも立たない日本人学生を守ってくれているのは、当の学生が散々批判している新卒一括採用(と日本語)だということに気がつくはずです。
年功序列は不要という人は、想像力がまったく欠如している
じゃあ次に、会社に入って間もない若手社員がよく文句を言っている「年功序列」についてです。
どこの会社でも「働かないおじさん」問題がよく言われますね。
若い人ばかりタイヘンな仕事をさせられてしわ寄せがいくのはおかしい!とか、そもそも会社でずっとネットみたり、ゲームやって年収2,000万円とかどうなの?とか。
でも、ちょっと冷静に考えてみましょう。
今は若くても、ゆくゆくは自分だっておじさん(おばさん)の仲間入りをしますよね。
気力も体力も衰えていく一方で、子どもの教育費などの生活コストはどんどん上がっていきます。
そんなときに、
「実力主義だから、若くて優秀な人材と戦って勝て!じゃないとポストも給料もやらん!」
って言われたらどうですか?
新卒一括採用のときも言いましたが、みんななぜか自分の能力を買いかぶりすぎです。
普通に考えて、勝ち目が薄いのは一目瞭然ですよね。
そもそも年齢が上がってせっかくついたポストも数に限りがあります。
そこを狙って野心のある若い連中が最新の知識で武装して、大挙して群がってくるわけです。
しかも、もはや相手は日本人とは限りません。
そんなリスクがあるにも関わらず、わざわざ年功序列を廃止して自らの身を危険にさらさないといけないんでしょう?
明日は我が身ということが想像できれば、年功序列という美しい制度を犠牲にすることなど及びもつかないはずです。
ちなみに、よく似た議論で「窓際族はクビにしろ」というのがあります。
これも逆で、むしろ積極的に保護すべきです。
なぜわざわざ理想郷を自分の手で壊すような真似をするんでしょうね?
同じことは天下りにも言えるわけですが、働く者の既得権益をほかならぬ働く者自身が壊すのはもうやめにしたいものです。
ただ、ちょっと気を付けたいのはさすがに仕事をまったくしないと何も身につかないし、積極的に周囲に迷惑をかけるのは間違いだということ。
そうではなくて、「責任以上・給料以上のことはやらない」と早々に決め込んでしまい、浮いた時間をスキルアップや収入アップにつなげるのがベター。
仕事じたいがスキルアップにつながるならそれはそれでよしですから、そういう仕事を選んで一生懸命やればよいでしょう。
終身雇用という命綱を自分から外そうという愚かさ
最後に、日本的経営の問題点としてもよく挙げられる終身雇用について。
これも働く側からすれば最高の制度であって、何があっても守り抜かないといけないものです。
よっぽどのことがない限りクビにならないという極上の安心感以上にみんな一体何を求めるというのでしょう?
それである程度給料がもらえて、労働時間や業務内容も過酷でないならこれほどありがたいことはないのではないでしょうか。
思えばいつの時代も「日本の労働制度は改革が必要」という声が止むことはありません。
でも、それならなぜ、子どもについてほしい職業の不動の第一位はずっと「公務員」なのでしょう?
それはとりもなおさず、仕事を経験してきた親世代が「終身雇用サイコー!」と心の中で思っているからに他なりません。
もっとも、会社がイヤになることだってあるでしょう。
なら辞めればいいだけの話なのですが、辞める前の準備をするのにも終身雇用はうってつけです。
終身雇用の会社にいれば、ちょっとやそっと仕事の手を抜いて副業や転職活動にいそしんだとしても自分から「辞めます!」と言い出さない限りクビにはされません。
むしろ会社があなたの次の一歩を全力で支援してくれているとすら考えることもできます。
そんな太くて頼りがいのある命綱を、自分から切り離そうという意味がまったくわかりません。
これから就職・転職する会社を選ぶなら、「ザ・日本企業」以外にない!
中途半端なベンチャーに入ってしまった人や、自分の能力を過信している見通しの甘い学生には声を大にして、
「新卒一括採用・年功序列・終身雇用」
という日本型雇用の三種の神器がそろった会社をおすすめします。
合言葉は「目指せ!保守本流」。
古臭いけど簡単にはつぶれない、やたら図体がでかくて改革の遅い会社が最高です。
そういう会社は手厚い福利厚生もおまけでついてきます。これを利用しない手はないですからね。
ただ、非合理的なこともいっぱいあるので、たまには頭にくることもあるでしょう。
でも、そんなのは適当にいなしておけばいいだけ。別にあなたが非合理的なわけじゃありません。
真面目に取り合おうとするからしんどくなるんですよ。
代表的なパターンはこんな感じでしょうか。
たとえばパワハラ。程度にもよりますが最後は法律に訴えればOK。
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ヒラメ上司もイヤですね。対処法はこちら。
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なまじ仕事を定時でこなすと、変に嫉妬されるのも不思議。
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「実力主義」とか「自己の成長」といった、耳ざわりはいいけど本当は企業や資本家にだけ都合のいい言葉に踊らされないように気をつけましょう!
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